月曜日, 8月 4, 2025

PDF作成までの手順(初めての方向け)

本ページでは文庫本作成ツール・威沙で縦書きPDFを作成する方法について簡単に説明します。

環境

威沙の実行環境については、威沙についてを参考にしてください。
インストール手順は、ドキュメントページの『超簡単な威沙の使いかた』を参照してください。

必要なもの

  • 本文テキストファイル
    文字コードはUTF-8を推奨、Windowsの『メモ帳』アプリケーションならばデフォルトでこの文字コードになっています。
    メモ帳やエディタなどで作成してください。拡張子は『.txt』になります。
  • 挿絵
    挿絵を挿入したい場合は、画像ファイルを用意してください。
    JPEG・PNG・BMPの画像ファイルが使用できます。

簡単な変換

ここでは簡単な例文を用いて実際に変換を行う例を示します。

本文作成

以下のような本文を作成したとします。

第1話 夜空に舞うもの

「と、取りあえず、落ちる心配は無さそうね……」
 ひとしきり叫んで少し冷静になったあたしは、足元を恐る恐る踏みしめてみる。
 そこには何も見えないが、足には柔らかい高級羽毛布団を踏みしめたような、ふわふわとした反発感があり、これより下へと落ちるような感じはない。
 とりあえず、今のところは墜落の心配をしなくても良いことが確認できたので、あたしは改めて周りを見渡してみた。
 地平線の向こうまでその視界を遮るものが全く見当たらないことから、とんでもない高さにいることを改めて思い知る。
 そして、眼下に広がる街並みは間違いなくあたしが住んでいる町だ。
「あれはいつも行っている本屋だし……あそこにあるのはこの前服を買った洋品店だし……」
 あたしは見下ろしている目を皿のようにして、黒く立ち並ぶ街並みから自分の知っている建物の列挙を始めた。
 ……意外に、普段の視界にはあるはずもない空からの眺めでも建物の判別ってつくのね……って!
「こ、こんなことしている場合じゃなかったぁっ!!」
 あたしは自分が通っている高校の学舎を指差したところでようやく我に返った。
「問題はどうしてここにいるのかと、帰る方法よね……」
 今になって気が付いたけど、こんな上空に浮いているのに寒さを全く感じないのだ。
 本来、上空は強い風が吹いているというけれど、それを肌に感じる事も無い。
 今のあたしは、風のない空中で留まっている風船の如くの状態である。
「分からない……何であたしここにいるの?」
 とその時、気付いた事があった。
 あたしの服は、薄着……それもパジャマのままであったことだ。
「……と言う事は……」
 常識で考えれば一つしかない解答をあたしの頭は導きだす。
「これは夢! そう夢しかない!」
 納得顔でいずこかに向けて高らかに宣言するあたし。
「なぁ〜んだ、夢かぁ〜」

このファイルを『残照1.txt』として保存します。

PDF変換

威沙を起動して、先ほど作成したファイルをドラッグ&ドロップ、もしくはファイルを開くボタンから指定してください。
この時、出力設定を以下のように変更してください。(デフォルトでは『目次・奥付』が有効になっていますが、チェックを外してください)

ファイル指定と出力設定が終わったら、『PDF変換』ボタンをクリックしてください。

変換処理後、変換元のファイルがあるフォルダに『.pdf』という拡張子が付いたPDFファイルが出力されます。

このPDFファイルを『Adobe Reader』や『SumatraPDF』などのPDFビューワで開くと、縦書きPDFが出力されることが確認できます。
なお、生成したPDFを開く場合にはブラウザ以外を使用してください。
(2023年時点ではedgeもFirefoxもChromeも右綴じ見開きで表示するモードに対応していません)

文章情報を追加する

単純に文章ファイルを変換しただけでも縦書きPDFになりますが、少し情報を追加することでタイトルや筆者名をつけることができます。

タイトルをつける

文章にタイトルを付ける場合には、以下のような記載をテキストファイルに追加してください。
必ず、行頭に書くようにしてください。(行頭以外では設定できません)

#タイトル# 夢の残照

記載したら文章ファイルを保存し、先ほどと同様威沙で変換を実行してください。
変換後のPDFファイルを開くと、見開き右ページのノンブルにタイトルが配置されます。

筆者名をつける

文章データに筆者名を設定する場合には、以下のような記載をテキストファイルに追加してください。
必ず、行頭に書くようにしてください。(行頭以外では対応できません)

#筆者# 風野旅人

威沙の出力設定の『目次・奥付』を有効にしてから、筆者名を付与したファイルを再度PDF変換を実行してください。

変換後、中表紙及び奥付ページに筆者名が記載されていることが確認することができます。
(先の『タイトル』も反映されています)

サークル(所属)名・イラストレーター名などを指定する

タイトル・筆者名と同様にサークルの名称、イラストレーターのお名前を指定して、中表紙や奥付、イラストレーター名ページに反映させることができます。
また、筆者やイラストレーターのホームページURL、メールアドレス、協力者などを指定することができます。詳しくは『ドキュメント』のPreTNFリファレンスマニュアルをご参照ください。

#サークル# 旅人のザック
#絵師# Hiroshi

本文の充実

文章ファイルをただ変換しただけでも縦書きPDFになるのは前述のとおりですが、ルビや圏点、章立てなどを指定することで体裁を拡充することができます。

ルビを指定する

ライトノベルでお馴染みのルビも威沙で指定することができます。
ルビの指定方式は、威沙オリジナル形式以外にもいわゆるなろうの形式(正確には『視覚障碍者読書支援協会』の入力ルール)、Pixiv形式に対応しています。

! 威沙オリジナル形式
[学舎|まなびや]
! なろう・カクヨム形式
|眼下《がんか》
! Pixiv形式
[[rb:反発感 > はんぱつかん]]

※行頭の”!”はコメントアウト(PDF出力に反映させない)を表しています。

上記のように記載したファイルを威沙で変換すると以下のようにルビが配置されて出力されます。

ルビ出力例

圏点を指定する

威沙では圏点も付与することができます。指定形式は、威沙オリジナル形式とカクヨム形式があります。

! 威沙オリジナル形式
これが"世界"の選択だ。
! カクヨム形式
《《やらかし》》宣言
圏点出力例

章立てを指定する

『章立て』を指定することで、章タイトルを大きくしたり、ノンブルに章立てを載せたり、目次ページに章を載せることができます。
章立てにしたい行の先頭に『#章#』を記載することで実現できます。

#章# 第1話 夜空に舞うもの

「と、取りあえず、落ちる心配は無さそうね……」
 ひとしきり叫んで少し冷静になったあたしは、足元を恐る恐る踏みしめてみる。
 そこには何も見えないが、足には柔らかい高級羽毛布団を踏みしめたような、ふわふわとした反発感があり、これより下へと落ちるような感じはない。
 とりあえず、今のところは墜落の心配をしなくても良いことが確認できたので、あたしは改めて周りを見渡してみた。
 地平線の向こうまでその視界を遮るものが全く見当たらないことから、とんでもない高さにいることを改めて思い知る。
 そして、眼下に広がる街並みは間違いなくあたしが住んでいる町だ。
「あれはいつも行っている本屋だし……あそこにあるのはこの前服を買った洋品店だし……」
 あたしは見下ろしている目を皿のようにして、黒く立ち並ぶ街並みから自分の知っている建物の列挙を始めた。
 ……意外に、普段の視界にはあるはずもない空からの眺めでも建物の判別ってつくのね……って!
「こ、こんなことしている場合じゃなかったぁっ!!」
 あたしは自分が通っている高校の学舎を指差したところでようやく我に返った。
「問題はどうしてここにいるのかと、帰る方法よね……」
 今になって気が付いたけど、こんな上空に浮いているのに寒さを全く感じないのだ。
 本来、上空は強い風が吹いているというけれど、それを肌に感じる事も無い。
 今のあたしは、風のない空中で留まっている風船の如くの状態である。
「分からない……何であたしここにいるの?」
 とその時、気付いた事があった。
 あたしの服は、薄着……それもパジャマのままであったことだ。
「……と言う事は……」
 常識で考えれば一つしかない解答をあたしの頭は導きだす。
「これは夢! そう夢しかない!」
 納得顔でいずこかに向けて高らかに宣言するあたし。
「なぁ〜んだ、夢かぁ〜」

威沙で変換する際に『目次・奥付』付与を有効にして変換することで、目次ページが追加されます。

挿絵を指定する

威沙では画像ファイルを指定することで挿絵を挿入することができます。また、改ページ時に自動的に挿絵画像を配置するようになっています。
文章中に『#挿絵:左# <画像ファイル名>』と記載することで画像を挿入することができます。なお、指定の『右』は右ページ、『左』は左ページ、『次』は左右無関係に次ページに配置することを指定します。

#挿絵:左# 04_mikoto_50_03.jpg